- 繰り返す嘔吐が原因!?
マロリー・ワイス症候群とは - マロリー・ワイス症候群の
主な症状と吐血のサイン - マロリー・ワイス症候群の
原因と起こりやすい状況 - マロリー・ワイス症候群の
検査・診断 - マロリー・ワイス症候群の治し方・治療
- 繰り返さないための生活習慣と予防法
- マロリー・ワイス症候群のよくあるご質問
繰り返す嘔吐が原因!?
マロリー・ワイス症候群とは
マロリー・ワイス症候群とは、嘔吐などの強い腹圧がかかる動作によって、食道粘膜の胃に近いところで裂け目が生じ、出血する病気です。特に、多量の飲酒をした後、繰り返し嘔吐した後に発症しやすい病気となります。
主な症状は、出血に伴う吐血とタール便(黒い便)です。出血が自然に止まることもありますが、出血量が多い場合、ご高齢の方に発症した場合には、入院、内視鏡を用いた止血処置が必要になることがあります。
なお、吐血・黒色便は、胃潰瘍・胃がん・食道がんの症状として出現することもあります。一度でも吐血・黒色便があった場合には、これらの病気の可能性も考え、必ず受診してください。
マロリー・ワイス症候群の
定義
マロリー・ワイス症候群は、激しい・繰り返す嘔吐や咳などによって腹圧が上昇することで、食道下部の粘膜が損傷・出血する病態を指します。
代表的な症状である吐血・黒色便は、他の消化器疾患でも見られます。そのため、それらの病気を除外して正確な診断・治療を行うことが大切になります。
マロリー・ワイス症候群の
主な症状と吐血のサイン
マロリー・ワイス症候群では、以下のような症状が見られます。
吐血・黒色便が代表的な症状であり、かつ初期症状(サイン)と言えます。
- 吐血
- 黒色便(タール便)
- 胸~みぞおちの痛み
- 立ちくらみ、冷や汗(出血量が多い場合)
マロリー・ワイス症候群の
原因と起こりやすい状況
マロリー・ワイス症候群の原因・発症しやすい状況についてご説明します。
原因や状況はさまざまですが、中でも「飲酒後に嘔吐を繰り返した場合」に発症するケースが目立ちます。
主な原因
嘔吐
激しい嘔吐、繰り返しの嘔吐は、腹圧の上昇と食道粘膜の圧迫を招きます。
食道粘膜の脆弱性
もともと食道粘膜の局所的な脆弱性が認められる場合には、腹圧の上昇によってその部位が裂けやすくなります。
飲酒
飲酒は吐き気や嘔吐を招きます。特に多量の飲酒をし、嘔吐した後は、マロリー・ワイス症候群の発症リスクが高まります。
起こりやすい状況
飲酒
飲酒は吐き気や嘔吐を招くだけでなく、胃の粘膜を刺激して炎症を引き起こし、裂けやすい・出血しやすい状態となります。
過食嘔吐
過食後、意図的な嘔吐をしたために、マロリー・ワイス症候群を発症するケースも見られます。
つわり
つわりによって嘔吐を繰り返し、マロリー・ワイス症候群を発症するケースがあります。
激しい咳
激しい咳も、腹圧を上昇させる原因となります。その他、大きなくしゃみ、喘息発作によってマロリー・ワイス症候群を発症することがあります。
マロリー・ワイス症候群の
検査・診断
問診、診察の上で、胃カメラ検査を行い、診断します。
胃カメラ検査では、食道粘膜を特に重点的に観察し、炎症・裂傷・出血の有無などを確認します。
逆流性食道炎などの他の疾患が除外できれば、マロリー・ワイス症候群と診断します。
その他、レントゲン検査、CT検査が行われることもあります。
マロリー・ワイス症候群の
治し方・治療
マロリー・ワイス症候群の主な治療法をご紹介します。
なお、吐き気・嘔吐の原因となる疾患があれば、その疾患に応じた治療も必要となります。
水分・栄養の補給
嘔吐を原因としたマロリー・ワイス症候群の場合には、失われた水分・栄養を補給することが大切です。経口補水液または点滴によって補給します。
吐き気止めの内服
吐き気が残っており、嘔吐が起こる可能性が高い場合には、吐き気止めを処方します。
再発防止のための
生活習慣指導
症状が落ち着いてからは、食事(特にアルコール関連)、運動などにかかわる生活習慣指導を行い、再発防止を図ります。
繰り返さないための
生活習慣と予防法
マロリー・ワイス症候群は、再発しやすい病気です。
予防においては、以下のようなことが大切になります。
お酒との付き合い方を改める
マロリー・ワイス症候群において、飲酒は最大の原因・リスク因子です。吐き気や嘔吐といった症状を招くような飲み方はしてはいけません。
水・ジュースといった非アルコール飲料と交互に飲む、先にしっかりと食事を摂ることで、飲酒量を抑えられます。
食べ過ぎ・消化の悪いものの摂り過ぎを控える
食べ過ぎ、脂っこいもの・刺激物などの摂り過ぎは、吐き気や嘔吐を誘発します。
特にお酒を飲む時は、食べ物の選び方により慎重になる必要があります。
ストレス・過労を避ける
ストレスや過労を原因として吐き気を覚えることもあります。
心身の健康を保ち、吐き気や嘔吐を防ぐことが、マロリー・ワイス症候群の予防にもつながります。
薬の副作用・食物アレルギーに注意する
薬の副作用、食物アレルギーによって吐き気・嘔吐が生じることもあります。
用法用量を守り正しく薬を飲むこと、心配がある場合には医師や薬剤師に確認すること、自分の食物アレルギーを把握しておくことが大切です。
マロリー・ワイス症候群の
よくあるご質問
マロリー・ワイス症候群は
自然に治る?
軽度のマロリー・ワイス症候群では、自然治癒が期待できます。
しかし、出血が大量である場合、ご高齢の方の場合は、入院や内視鏡による止血処置が必要になることがあります。
マロリー・ワイス症候群と他の消化器疾患との鑑別、適切な治療のためにも、吐血・黒色便が一度でもあったら、必ず受診してください。
再発リスクはどれくらい?
マロリー・ワイス症候群は、再発しやすい病気です。
特に、生活習慣(主に飲酒・食事の習慣)を改めない場合、再発リスクが高くなります。
治療後は再発防止のための指導もいたしますので、安心して当クリニックにご相談ください。
妊娠中にも起こることがある?
はい、つわり(吐き気・嘔吐・食欲不振などの症状)が出やすい妊娠5~20週くらいは、マロリー・ワイス症候群の発症リスクが高くなる時期と言えます。
吐血・黒色便があった時はもちろんですが、気になる症状がある場合にはお早目にご相談ください。
妊娠に配慮した診療を行います。
マロリー・ワイス症候群と
食事の関係は?
マロリー・ワイス症候群の重大な原因・リスク因子として、まずお酒が挙げられます。
ただ、吐き気や嘔吐は暴飲暴食、脂っこい物・刺激物の摂り過ぎなどでも起こります。
また、腹圧の上昇を招く空腹時の一気食い、体調が良くない時の無理な食事も、マロリー・ワイス症候群の発症リスクを高めます。
日頃から、体調と相談しながら消化の良いものを適量、ゆっくりとよく噛んで食べることが、マロリー・ワイス症候群の予防・再発防止に役立ちます。
監修 池澤伸明

- 2006年
関西医科大学医学部医学科卒業 - 2006年-2008年
順天堂大学医学部附属順天堂医院にて
臨床研修医 - 2008年-2009年
さいたま赤十字病院 救急医学科 - 2009年-2012年
さいたま赤十字病院 消化器内科 - 2012年-2015年
国立がん研究センター中央病院
消化管内視鏡科レジデント - 2015年-2018年
明石医療センター 消化器内科 医長 - 2018年-2023年
神戸大学医学部附属病院 消化器内科 医員