脂質異常症(高脂血症)とは
脂質異常症とは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増える、あるいはHDL(善玉)コレステロールが減った状態を指します。
以前は善玉・悪玉を区別せず、総コレステロール値が基準値を超えた場合に「高脂血症」として治療されていましたが、現在はLDLコレステロールや中性脂肪の管理に重点を置いた治療が行われます。
脂質異常症はほとんど無症状のまま動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクを高めます。健康診断などで異常を指摘された場合には、症状の有無に関係なく、お早目に当クリニックにご相談ください。
痩せているのに脂質異常症に
なることも!?原因について
脂質異常症の主な原因は、生活習慣の乱れです。約1%の割合で、遺伝を原因として発症する脂質異常症も見られます。
具体的な生活習慣の乱れとしては、脂っこいものの摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足、肥満、喫煙、ストレスなどが挙げられます。
なお、必ずしも太っている人が発症する病気ではありません。一見して痩せていても、内臓肥満の方の場合は、脂質異常症を発症するリスクが高くなります。
自覚症状はほとんど無い!?
放っておくと…
脂質異常症それ自体には、ほとんど自覚症状がありません。
しかし、脂質異常症を長期にわたって放置することで動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞、脳卒中といった命にかかわる疾患の発症リスクが高まります。
また、脂質異常症の人は、糖尿病や高血圧症を合併するリスクも高くなります。糖尿病を合併している場合には、のどの渇きや多飲、多尿・頻尿などの症状が見られることもあります。
脂質異常症の検査・診断
脂質異常症は、空腹時に血液検査を行い、LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪において、以下の基準値を外れた場合に診断されます。
心疾患の合併の有無を調べるため、胸部レントゲン検査を行うこともあります。
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 120~139mg/dL |
高LDLコレステロール血症 境界域LDLコレステロール血症 |
---|---|---|
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
中性脂肪(トリグリセライド) | 150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
脂質異常症の治療
脂質異常症の診断後は、主に以下のような治療を行います。
食事療法・運動療法を基本とし、必要に応じて薬物療法を導入します。
食事療法
脂っこいものの摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、食べ過ぎなどがあれば、その改善のための指導を行います。
肥満の方は、運動療法と組み合わせたダイエットも必要です。
運動療法
適度な運動は、HDLコレステロールを増やしたり、中性脂肪を減らしたりする効果が期待できます。
ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を毎日30分、または週180分以上行うことが大切です。
薬物療法
主に、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らす薬の内服を行います。
LDLコレステロールのみを減らす薬、中性脂肪のみを減らす薬、両方を減らす薬がありますので、検査結果に応じて、お薬を選択します。
脂質異常症の食事のポイント
脂質異常症に対する食事療法におけるポイントをご紹介します。
脂質異常症の予防においても有効です。
積極的に食べると良い食事
LDLコレステロールの値が高い場合におすすめしたい食事、中性脂肪の値が高い・HDLコレステロールの値が低い場合におすすめしたい食事をご紹介します。
【高LDLコレステロール血症の方】
- サバ、イワシ、アジ、サンマなどの青魚
- 納豆、豆腐、豆乳
- 緑黄色野菜
- 食物繊維が豊富な野菜
- ワカメ、昆布
- きのこ類
- こんにゃく
【高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症の方】
- 緑黄色野菜
- 食物繊維が豊富な野菜
- サバ、イワシ、アジ、サンマなどの青魚
- 納豆、豆腐、豆乳
控えた方がよい食事
反対に、脂っこいものの摂り過ぎ・お酒の飲み過ぎ・食べ過ぎなどは控えましょう。
摂り過ぎを控えるべき食品には、以下のようなものがあります。
【高LDLコレステロール血症の方】
- 鶏卵
- 魚卵
- ばら肉、肉類の皮
- レバー、モツ、肝などの内臓類
- マーガリン、ショートニングといったトランス型不飽和脂肪酸を多く含むもの
- ケーキ、クッキー、シュークリームといった生クリーム・バター・砂糖の多いもの
- アルコール
【高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症の方】
- ごはん、パン、麺類
- ジュース、清涼飲料水
- ケーキ、クッキー、シュークリームといった生クリーム・バター・砂糖の多いもの
- 和菓子
- 飴
- からあげ、天ぷら
- ファストフード
- 味の濃い物
調理方法について
外食の多い方は、脂質や糖質、塩分などをコントロールしやすい自炊中心の生活に切り替えましょう。
また自炊では、以下のような工夫をすることをおすすめします。
- 揚げ物はできるだけ控え、蒸す・煮る・少量の油で焼くといった調理をおすすめします。
- 揚げ物をする時には、油をよく切ってから、お皿に載せましょう。キッチンペーパーなどでワンクッションを置くと、油を吸ってくれます。
- 食材を大き目にカットすることで、咀嚼回数が増えます。満腹になりやすく、食べ過ぎを避けられます。
- 塩分は控えめにし、天然出汁、スパイスなどをうまく活用しましょう。
監修 池澤伸明

- 2006年
関西医科大学医学部医学科卒業 - 2006年-2008年
順天堂大学医学部附属順天堂医院にて
臨床研修医 - 2008年-2009年
さいたま赤十字病院 救急医学科 - 2009年-2012年
さいたま赤十字病院 消化器内科 - 2012年-2015年
国立がん研究センター中央病院
消化管内視鏡科レジデント - 2015年-2018年
明石医療センター 消化器内科 医長 - 2018年-2023年
神戸大学医学部附属病院 消化器内科 医員