好酸球性食道炎と
ストレスとの関係は?
好酸球性食道炎とは、アレルギー反応として食道で好酸球という白血球が食道に蓄積し、炎症を引き起こす指定難病です。気管支喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患を持つ人に起こりやすいため、「アレルギー性食道炎」とも呼ばれます。
アレルゲンを特定できないことが多く、はっきりとした原因が分からないケースも見られます。近年では、ストレスによって胃酸の分泌が過剰になり、好酸球性食道炎を悪化させるという指摘も見られます。
好酸球性食道炎は、30~50代の、男性に多い病気です。
好酸球性食道炎の症状チェック

- のどの違和感、つかえる感じ
- 飲み込みづらさ
- 吐き気
- 嘔吐
- 胸やけ
- 胸痛
のどから胸にかけて、主に上記のような症状が見られます。食道がんでも似た症状がありますので、気になる場合にはお早目にご相談ください。
好酸球性食道炎の原因
好酸球性食道炎は、主に食物アレルゲンに暴露されることによって、食道に好酸球が蓄積して慢性的な炎症が引き起こされます。アレルゲンとなる食物には小麦や牛乳、大豆、卵などがありますが、アレルゲンを特定できないケースが少なくありません。
また、抗生物質の使用、早産・帝王切開などの影響も指摘されています。その他、ストレスなどによって胃酸の分泌が過剰になり、好酸球性食道炎の病状を悪化させるとも言われます。
好酸球性食道炎の検査・診断
症状のある方に対する診断には、内視鏡検査(胃カメラ)と、組織学的に有意な好酸球浸潤(15個/高倍率視野[HPF]以上)を確認する病理検査が必要です。
薬剤が効かない逆流性食道炎(PPI抵抗性GERD)と診断されていた患者さんのうち、1〜8%に好酸球性食道炎(EoE)が見つかったという報告もあり、内視鏡検査はEoEの診断において非常に重要な検査とされています。
内視鏡における特徴的な所見としては、以下の5つが客観的評価基準として提唱されています。
- 白色滲出物(Exudates)
- 輪状溝(Rings)
- 粘膜浮腫(血管透見の低下・消失)(Edema)
- 縦走溝(Furrows)
- 食道狭窄・狭小化(Stricture)
しかし、約10%の症例では、内視鏡上で明らかな異常を認めないこともあります。そのため、所見が不明瞭で判断が難しい場合には、特に下部食道を中心に積極的に生検を行うことが重要となります。
当クリニックでは、内視鏡専門医・指導医である院長が、精密な胃カメラ検査を提供しております。鎮静剤を使用し眠ったような状態で、ほとんど苦痛なく胃カメラ検査を受けていただけますので、安心してご相談ください。
好酸球性食道炎の治療
好酸球性食道炎の診断後は、主に以下のような治療を行います。
薬物療法
胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬の使用により、約半分の方で症状が改善します。
その他、免疫の過剰な反応を抑えるためのステロイド薬、免疫抑制剤、抗ロイコトリエン拮抗薬などを使用することもあります。
症状が改善した場合も、薬物療法を中止することで再発することが多いため、通常は症状が治まってからも減薬した上で、薬物療法を継続します。中止した場合も、経過観察が必要です。
食事療法
原因となるアレルゲン(食品)を特定できた場合には、そのアレルゲンを取り除いた食事療法の指導を行います。
好酸球性食道炎のよくある質問
治療中、お酒は飲んでも構いませんか?
アルコールによって好酸球性食道炎が悪化するという報告はありません。しかし、飲酒を含めた暴飲暴食は胃酸の分泌を促進し、胃液の逆流、食道の炎症悪化などを招く可能性があるため、控えめにすることをおすすめします。
どんな時に好酸球性食道炎を
疑えばいいでしょうか?
主な症状としては、のどの違和感やつかえる感じ、飲み込みづらさ、吐き気・嘔吐、胸やけ、胸痛などが挙げられます。こういった症状のある30~50代の男性、アレルギー体質の方は、特に好酸球性食道炎の疑いが強まります。
好酸球性食道炎は遺伝しますか?
病気自体が遺伝することはありませんが、アレルギー体質が親から子へと受け継がれ、好酸球性食道炎を発症するということは十分に考えられます。ただ、好酸球性食道炎の大部分は環境因子によって引き起こされるものであり、遺伝が影響する割合は全体の20%程度と言われています。
好酸球性食道炎は、
完治するのでしょうか?
残念ながら、完治させることは困難です。しかし、治療を継続することで症状を抑え、QOLを回復させる・維持するということは可能です。反対に、治療を中止すると1年以内に半数で再発します。
好酸球性食道炎の特徴を
教えてください。
厚生労働省より難病に指定されており、30~50代の男性・アレルギー体質の人に発症しやすいという特徴が挙げられます。また、他の食道炎にも言えることですが、長期にわたって食道で炎症が続くと、食道狭窄を起こし、食べ物の通過障害が生じることがあります。
ストレスを原因として好酸球性食道炎を発症することはありますか?
発症については、あくまでアレルギーが原因であり、ストレスとの明確な関係はありません。しかし、ストレスは胃酸の分泌を促進することから、好酸球性食道炎の病状を悪化させる可能性はあると考えられます。ストレス、暴飲暴食など、胃酸の分泌を促進する因子はできるだけ取り除きましょう。
好酸球性食道炎を放置すると、
どうなりますか?
慢性的な食道炎が長期にわたって持続することで、食べ物を飲み込めない・吐いてしまうといった通過障害を起こすことがあります。健康・QOLを大きく低下させることになるため、きちんと治療を受けましょう。軽度であり経過観察となった場合も、定期的に受診し、適切なタイミングで治療を開始する・継続することが大切です。
監修 池澤伸明

- 2006年
関西医科大学医学部医学科卒業 - 2006年-2008年
順天堂大学医学部附属順天堂医院にて
臨床研修医 - 2008年-2009年
さいたま赤十字病院 救急医学科 - 2009年-2012年
さいたま赤十字病院 消化器内科 - 2012年-2015年
国立がん研究センター中央病院
消化管内視鏡科レジデント - 2015年-2018年
明石医療センター 消化器内科 医長 - 2018年-2023年
神戸大学医学部附属病院 消化器内科 医員